ライトノベル アリソン レビュー

タイトル アリソン
著者 時雨沢恵一
イラスト 黒星紅白
出版 電撃
発売日 2002年3月


執筆者:jade 評価:
巨大な大陸が一つだけある世界。その大陸は二つの連邦に分けられていて長い間、戦争を繰り返していた。
その東側の連邦に暮らす学生ヴィルと軍人アリソンは二人とも17歳。
ある日ヴィルはアリソンと一緒に街外れまで行き、そこでホラ吹きで有名な老人と出会う。その老人は二人に『戦争を終わらせることができる、それだけの価値がある宝』の話をする。ところがその話の途中、二人の目の前でその老人は誘拐されてしまい…

というのがあらすじ。

あらすじからは想像できないでしょうがこの作品はおてんば娘アリソンとそんな彼女に連れまわされる少年ヴィルの冒険を描いたとてもハートフルな物語です。といっても全編通してほのぼのとしたお話が展開されるわけではなく戦争の残酷さや傷跡など重たいエピソードも随所に出てきます。それを重く感じさせないのはアリソンの明るさとヴィルの優しさによるもの。つまりこの物語はこの二人の魅力によって成り立っていると言っても過言では無いですね。

規律に縛られず、また危険を顧みないアリソンのバイタリティーも魅力的なんですが私はヴィルの方により魅力を感じました。一見ヴィルはアリソンに流されるただ優しいだけの少年に見えますが、本当に大事なものが何か、それを壊さず守り通すために何をすべきかを理解している少年でもあります。これは戦時下において人間に最も求められる要素であり、また真の強さであると感じました。
二人の魅力的な部分は双方の信頼の上に成り立っているものであり、二人のうちどちらが欠けても成り立たないものだと思います。そういった意味で二人はベストカップルだと言えるのでしょうね。

また二人の魅力と同じくらい目を引くのが無駄のない文章構成。
何気なく書かれた描写がその直後、あるいは終盤の重要な伏線となり物語に関わってくるため、場面場面でハッとさせられます。やはり伏線は大仰しく書かれるよりもさり気無く紛れさせた方が物語の流れを壊さないので効果的ですね。おかげで最初から最後まで醒めることなく物語の世界に没頭できました。

評価は客観的に見ればA〜Sの中間といった感じなんですが個人的な好みでSにしました。最終巻まで買ってあるので読み次第、順次感想を載せていく予定。インパクト勝負の物語では無いので久しぶりに最初から最後まで楽しめるシリーズになりそうです♪


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